伝統的占星術とモダン占星術(0)

ずいぶん前に書いた Weblog のエントリーを,多少の加筆・修正,そして,書き下ろしの番外編を追加して,コラムの第1弾とします。


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伝統的占星術とモダン占星術(1)

伝統的占星術といってピンとくる人は、占いに相当関心のある人ではないでしょうか。いま、日本で西洋占星術というと「モダン占星術」と呼ばれるものを指すことが多いと思います。

その違いを次回から少しずつ書いていこうと思います。


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伝統的占星術とモダン占星術(2)

伝統的占星術は、モダン占星術に対して古典占星術とも呼ばれています。それではモダンと古典の違いはなんでしょう?

まず、大きく違うのは、対象とする天体が違います。

古典では「土星・木星・火星・太陽・金星・水星・月」の7つの天体が主役となります。モダンではさらに「天王星・海王星・冥王星」も主役<級>として同等に扱います。言い換えれば今後,新しい天体が見つかったり、現存する天体が主役級に躍り出るかもしれないと言うことです。

古典は目視できることが大前提で発展し、システム化されていますから、古典の技術が大幅にひっくり返ることはないでしょう。1週間が7日であることに変化がないように。

ところが「天王星・海王星・冥王星」に関しては,古典でも活用されている占星家は,たくさんいらっしゃるようです。補助的に扱う方もいれば,積極的な方も。ただし,天体の品位を重んじるならば,積極的に活用する方の占術は古典とは言い難いのかも知れません。


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伝統的占星術とモダン占星術(3)

前回は、古典(伝統的)占星術と、モダン占星術の鑑定で注目する天体について書きました。今回はサインについて書いてみます。

黄道帯を12分割して、そこに位置する星座をサインと呼んだり、全体をサインと呼んだりします。360度を12分割ですから、ひとつのサインは30度となります。「牡羊・牡牛・双子・蟹・獅子・乙女・天秤・蠍・射手・山羊・水瓶・魚」のおなじみのものです。

そのサインを「火・地・風・水」の4つで分類したり、季節の「始め・中央・終わり」の3つで分類したりします。また、「昼・夜」や「男・女」で分けたりもします。

さらに、各サインは「支配星(ルーラと呼びます)」が定めてあり,「身体部位」「国」「方角」「場所」「性質や性格」「疾患」などの意味を持たせる場合があります。

意味の持たせ方に、多少の変化もあるかと思いますが、ここまでは両者にそれほど違いがありません。しかし、その活用の仕方に決定的な違いがあるのです。


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伝統的占星術とモダン占星術(4)

前回の続き、古典(伝統的)占星術、モダン占星術、それぞれのサインの活用方法の違いを書いてみます。

今回は古典での用い方です。

古典では「火・地・風・水」を分類する要因や、「始め・中央・終わり」を分類する要因を重要視してサインを考えます。

すこし詳しく書きますと、火は「Hot & Dry」、地は「Cold & Dry」、風は「Hot & Moist」、水「Cold & Moist」という、ネイチャーの概念から決まっています。

そして、天体にも同じくネイチャーがあり、例えば「牡羊」は「Hot & Dry」の火のサインですが、そこに同じネイチャーを持つ太陽が位置していたら、太陽は持ち味を発揮しやすい状態と解釈できるわけです。

季節の「始め・中央・終わり」は「Moveable・Fixed・Common」と考えることもできます。夏の初めは、当初、春を感じさせつつも速やかに気温を上げていきます。つぎに、高い気温を維持する安定期間がしばらく続きます。そして、その後、秋を感じさせる日も交えながら夏が終了します。

言い換えれば、前の季節を断ち切り、季節の本番に向かう「始め - Moveable -」を強い影響力。その季節らしい「中央 - Fixed -」を安定・持続した影響力。次の季節が見え隠れする「終わり - Common -」を弱い影響力。いかがでしょうか?

もちろん、そのサインが示す、場所、国、疾患、身体的特徴なども、占う内容によっては、たいへん重要になります。しかしながら、まずは、上に記した区分によるサインの性質と天体、ハウスとの関係性です。個々のサインの意味合いを必要以上に重要視することはありません。


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伝統的占星術とモダン占星術(5)

今回はモダン占星術でのサインの用い方です。

前回のような区分をモダンでも、もちろん行ないます。ただ、それなのに、各々のサイン固有の事象を、より優先させて解釈する占星家が多いように見受けられます。日本語で書かれているモダン占星術のテキストの多くが、サイン重視で書かれていることに起因するのでしょうか。もちろん、全てではありませんよ。

そして、モダン占星術のサイン偏重が、逆にハウスを軽視していると思わせる状況を生んでいるようです。また、俗にいう「星占い(12星座占い)」も、出生時に太陽がどのサインに在ったか、を中心に判断していますので、一般的にも「そういうもの」と思われても仕方ないことかもしれません。

天体、サインと続きましたので、次回はハウスについて書いていこうと思います。


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伝統的占星術とモダン占星術(6)

今回からハウスについて書いていきます。

ハウスは、占う対象の場所と時間によって計算され、そのほとんどは反時計回りに12に分割されます。その計算方法は、様々な手法がありますが、伝統的占星術(古典)では、過去の文献のほとんどが「レジオモンタナス」を使用している事から、それを使っているようです。

現代占星術(モダン)は、占星家によって用いるハウスシステムが違います。また、占う内容で併用される方も見受けられます。先の「レジオモンタナス」や「プラシーダス」「キャンパナス」「コッホ」「イコールハウス」「ホールサインハウス」「ソーラーハウス」など様々です。最近は「コッホ」を薦める文献も多いようです。

その分割したハウスの境界線を「カスプ」と呼びますが、ハウスはカスプの5度手前から有効ということも知られています。ただし、正確に5度というわけではなく天体の強度なども考慮しなければなりません。

ハウスは、起こりうる事柄や過去の事柄、人物、物などを表します。古典ではハウスの理解を高く求められます。反面、モダンではサインほどに重要とされていないのかも知れません。なぜなら,結果に反映されていないように思える鑑定例も見かけなくは無いのです。


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伝統的占星術とモダン占星術(7)

ハウスの続きです。

前回、ハウスは、起こりうる事柄や過去の事柄、人物、物などを表すと書きましたが、すこし具体例を書いてみます。

よく言われているのが第4ハウスです。古典では、父親や両親を表します。このハウスの副支配星(コ・シグニフィケータ)が太陽である事からでしょうか。モダンでは、母親を表すとされています。4つ目のサイン「蟹(支配星は月)」の影響を受けているのでしょうか。これでは、ハウス=サインということになりかねず、ハウスを無視していると言わざるをえません。

第5ハウスも違いを感じるハウスです。恋愛関係をこのハウスで見ることの多いのがモダンです。このハウスは、喜びや快楽、スポーツ、SEX、子供などを表しますが、古典では恋愛など愛情問題は第7ハウスで見ます。自分自身を表す第1ハウスに対して、対になる第7ハウスに注目、というわけです。

他にもハウスにはJoyと呼ばれるものもありますが、モダンで考慮することは,ほとんど無いようです。


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伝統的占星術とモダン占星術(8)

今回はアスペクトについて。

アスペクトとは2つの天体のおりなす角度を言うのですが、このアスペクトも古典とモダンの違いを感じさせる部分です。

そもそも、古典でアスペクトと認められるのは、セクスタイル(60度)、スクエア(90度)、トライン(120度)、オポジション(180度)の4つです。また、2つの天体が重なる状態のコンジャンクション(0度)もありますが、これはアスペクトではありません。コンジャンクションです。ただ、アスペクトとともに語られることが多いのは,似たような解釈が出来るからでしょうか。

先にあげた、4つが(広義の意味で、コンジャンクションも含めて)メジャーアスペクトと呼ばれますが、モダンではさらに、30度、45度、72度、135度、144度、150度などもマイナーアスペクトと呼ばれ、使用されることも多いです。

共通のメジャーアスペクトの用い方にも違いが見られます。


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伝統的占星術とモダン占星術(9)

アスペクトの続き。

モダン占星術では,2つの天体間の角度によってのみアスペクトが確定します。また,オーブという,許される許容範囲はアスペクト毎に設定されます。例えば「トラインのときはプラス・マイナス8度( 112 <-- 120 --> 128 )」のように。

伝統的(古典)占星術では,アスペクトは2つのサイン間に存在します。スクエアであれば,牡羊に一方の天体があるとき,対する天体は,蟹もしくは山羊にある場合に限られます。ネイチャーを重視しているのです。(ネイチャーについては,伝統的占星術とモダン占星術(4)に書いてます)

Hot & Dry(火)の牡羊と,Cold & Moist(水)の蟹では,正反対の性質となります。山羊も Cold & Dry(地)と,ホットに対してコールドと,あまり同調できそうにありません。セクスタイルとトラインでは,一般的にトラインの方が好ましいアスペクトとされるのは,全くおなじネイチャーを持っているからなんですね。ですが,角度は 120度に近い場合でも,どちらかの天体がサインの境界付近では,同一のネイチャーでないことも多く,トラインと認められない場合があります。

そのうえで,角度が 120度になったとき,トライン完成となります。まず,サイン間での完成,次に天体間での完成というわけです。

アスペクトの本来の考え方を知れば,角度だけで決まるモダンの用い方は,腑に落ちないと感じてしまいます。

また,古典では,オーブは天体毎に設定されており,「太陽と月のトライン」と「太陽と水星のトライン」ではオーブの幅が違います。なお,オーブの幅は,モダン,古典ともに一定の基準はあるものの,絶対の数字があるわけではありません。


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伝統的占星術とモダン占星術(最終回)

細かく書こうと思えばいくらでも書けそうなのですが,今回で一応の終了といたします。さて,その最終回のテーマは「ディグニティ」です。

古典占星術に詳しい方以外の,多くの方には聞き慣れない言葉だと思います。「品位」と訳されることが多いようです。天体は,位置するサインと度数によって品位(点数)が決められ,強度を計算します。そのために用いる「ディグニティ表」と呼ばれるものがあります。このスコアも数種類あり,占星家によってどれを使うか違い,計算結果が違ってきます。

モダン占星術では,ほぼ忘れられた技術となっているようです。使わないと公言されている占星家もいらっしゃいますね。これは,モダンでは活用するルールが確立されていない(あえて確立しなかった?)ことが原因だと思われます。そもそも,ディグニティ表では土星以降の天体を使いませんので,使うに使えない状況とも言えます。

ただ,完全に無視されているかと言うと,そうではありません。ディグニティ表で最高得点である「HOUSE OF PLANET」などは,サインのルーラ(支配星)として影響を与えています。それに関連して,2つの天体がお互いのサイン(HOUSE OF PLANET)に位置するとき,ミューチュアル・レセプションとなり,鑑定に影響を与える場合があります。

これまでのディグニティは,エッセンシャル・ディグニティについて書いてみました。その中には,エッセンシャル・ディビリティと呼ばれるものもあります。エッセンシャル・ディグニティがプラスの影響なら,エッセンシャル・ディビリティはマイナスの影響を与えると言えます。

また,アクシデンタル・ディグニティという,ハウス位置や天体の速度,太陽とのコンジャンクションの状態などで天体の強度を計算するものもあります。これも辛うじて「コンバスト」など,いくつかがモダンでも使われる程度です。

最後はサラッと流しましたが,伝統的占星術とモダン占星術(本来は伝統的や古典に対して現代とした方が良かった?)の違いが,少しでもお分かり頂けましたでしょうか。なお,優劣をつけるつもりは全くありません。ただ,私の比較的得意な分野の伝統的占星術に肩入れされた文章であったことは否定いたしません。今後は時間が許せば伝統的占星術にフォーカスして書いていこうと思います。


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伝統的占星術とモダン占星術(番外編)

この回のエントリーは書き下ろしです。

肩入れしているのは,伝統的(古典)占星術というのは,先に述べたとおりなのですが,占星術に興味を持ったきっかけは,当然,モダン占星術です。「当たってる。凄い!」という経験が少なからずあるわけですね。そして,それは,私,個人に発せられた鑑定ではなく,不特定多数へのレポートや,Webやメールの読者にあてられたものでした。それゆえ,受け取る側の解釈いかんで,当たったか否かの判断も違ってくるわけです。とはいえ,いまでも,そのWebにはお世話になっていますし,届くメールも楽しみにしています。

じつは「当たってる」という感覚を持つ前から,独学でモダンの技術を学んでいました。日本語で読める主だった入門書の類いは,ほとんど読んだでしょうか。しかし,学べば学ほど自分のイメージと違ってきたんです。当たる,当たらないではなく,辞書的な内容に始終する,その書籍(手法)にでしょうか。

そこから,模索していくうちに伝統的占星術に出会うことになりました。当時,日本語で読めるテキストは皆無で洋書を読むことが,この世界の王道のようでした。それは現在でも,ほとんど変わっていません。しかし,英語がほとんど理解できない私にも残された道がありました。それは,伝統的占星術を熟知した然るべき先生に教わることです。幸い,その点には恵まれることが出来ました。まだまだ先は長いですが,こうして居られることに感謝して努力を続けていきたいと思います。


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